腰痛・慢性難治症状専門整体院Refuge 院長の中原です。
当院に来られる方のほとんどは、腰痛や肩こりのみでなく便秘も一緒にあったりと多くの身体の不調で悩んでいます。
今回は便秘について解剖から原因、対処法までをお伝えして便秘についての知識と対処法を身につけていただき、これを見た今日から実践して便秘解消をしていきましょう!
まずは、腸の解剖について知っていただきます。
●小腸の解剖
小腸はお腹の中心に位置しており、ちょうどお臍あたりにあります。
全長は6〜7mもあり、広げるとテニスコート一面分もあるとされています。消化管が全長9mなので、その3分の2は小腸が占めており、非常に長いのが特長です。
内部表面は、粘膜でおおわれ、粘膜は輪状のヒダをいくつあり、その表面には絨毛(じゅうもう)が生えています 。この絨毛から栄養を吸収していき、残りカスが大腸に送られて便となっていきます。
そして、小腸は空腸(小腸の2/5)と回腸(小腸の3/5)から構成されています。
胃から十二指腸と続き、その次にあるのが空腸、回腸という順にあります。
●大腸の解剖
大腸は小腸の周りに位置しており、全長1.5〜2mで結腸、直腸、盲腸からなります。
結腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸から構成されておりお腹周りを一周するように存在します。
内部の構造ですが、小腸は栄養吸収をしないといけないので絨毛がありますが、大腸は主に水分吸収を行うので絨毛はありません。
ですから、大腸の壁は、内側から粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿液下層、漿膜の構造になっています(図参照)。
腸は「第二の脳」と呼ばれているのを知っていますか?
腸内に入ってきた物を良いか悪いかを判断する以外に、脳内の神経伝達物質「セロトニン」の95%が腸で作られているという報告もあります。またさまざまなホルモン(ペプチド性ホルモン=脳内ペプチド)を生産し、多くの血管や神経が集まっている腸の状態は全身に影響します。皆も経験があると思いますが、子供のころ試験前や発表会などの前に緊張すると、急な腹痛や下痢に襲われたりしたことがありますよね。
このように頭で考えることと腸の活動は密接につながっているのです。
つまり腸は「第二の脳」ということです。
小腸の主な働きは、消化と吸収、そして免疫機能システム、セロトニンの生成です。
空腸と回腸で働きが異なり、
と働きに違いがあります。
働き①:消化
食事で摂取したものは胃で消化させれますが、全て胃で完全に消化できるというわけではありません。胃で消化されたものは粥状になって、十二指腸を通って小腸(空腸)に送られます。
十二指腸で胆のうから出る胆汁と膵臓から出る膵液が混合して胃酸で消化されたものを、中和しつつさらに消化していきます。
そのまま、空腸に送られていき、空腸で腸液(消化酵素)を出してさらに細かく分解して消化しやすい状態にしていきます。
具体的に言うと、炭水化物を細かくして麦芽糖・ブドウ糖・果糖・ガラクトースにしたり、脂肪を細かくして脂肪酸とグリセリンにします。
働き②:栄養吸収
胆汁、膵液、腸液により、十二指腸と空腸で吸収しやすいように細かく消化されたものは回腸に送られます。
そして、回腸で消化された食物から栄養分を、小腸壁にある絨毛で吸収していきます。
この時、栄養分だけでなく7〜8ℓの水分も一緒に吸収していきます。
吸収された栄養分は血液によって門脈という管を通り肝臓に送られ、残った粥状の残りかすは大腸へ運ばれていきます。
働き③:免疫機能
大腸の働きを参照してください・
働き④:セロトニンの生成
セロトニンとは、『ノルアドレナリン』や『ドーパミン』と並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つです。セロトニンは人間の精神面に大きな影響与え、心身の安定や心の安らぎなどにも関与することから、オキシトシンとともに『幸せホルモン』とも呼ばれます。
このセロトニンが不足することは、便秘になるだけでなく鬱や精神が不安定になったりするとも言われています。
体内のセロトニン分布は、
程度分布しているとされています。
体内セロトニンの95%は小腸にある腸クロム親和性細胞、および腸クロム親和性細胞様細胞で産生され、腸の蠕動運動が起きやすくして、便の排泄を助けています。
そのため、消化管のセロトニンが
になってしまいます。
また、消化管で生成されたセロトニンの一部は血液にある血小板に取り込まれ、血液凝固・血管収縮、疼痛閾値の調節、脳血管の収縮活動の調節などにも働きます。
しかし、セロトニンの95%は小腸で作られるが、腸内で作られたロトニンは脳内に直接入ることができません。
これは血液脳関門(BBB)というバリア機能によって、血液から脳内へ入る物質が制限されているからです。
では、脳内に存在するセロトニンはどのようにして存在しているのか?というとになるんですが、脳内で直接作られます。 しかし、脳内で作るにはするには様々な材料(前駆体や酵素)が必要であり、それらの材料は腸内から血液脳関門を通過できる状態になって脳内に送られます。
そこで必要な材料が
※セロトニンの前駆体は5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)という物質で、腸内でタンパク質から分解された必須アミノ酸「トリプトファン」から作られる。
※トリプトファンなどのアミノ酸がタンパク質から分解される際には、ビタミンCなどのビタミン類が酵素として使用される。また、ビタミン類の一つである、「ビタミンB6」はトリプトファンからセロトニンの前駆体である5-HTPを合成する際に必要となる補酵素として働きます。つまり、タンパク質の分解や、5-HTPを作るのにはビタミン類の働きが欠かせない。
このセロトニンの生成には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌などの腸内細菌が関わっており、腸内環境が良ければセロトニンの量も正常に保たれることが明らかになってきています。
このことからも、脳と腸が密接に関係しているというのがわかりますね。
大腸の主な働きは、便を作ることですが、消化、吸収、排泄、免疫機能といった働きがあります。
働き①:消化
十二指腸、小腸で食物のほとんどは消化されます。しかし、小腸で消化しきれなかったたんぱく質や炭水化物がある場合は、結腸がそれを分解していく働きがあります。
働き②:吸収
小腸で栄養分と水分を吸収した後、その残りの粥状のものは大腸に移動します。そして、結腸で水分の吸収とナトリウムなどの電解質の吸収を行います。そうすることで、便が作られていきます。この働きは、腸内細菌が深く関係してくるんですが、便秘の原因のところで詳しく話していきます。
働き③:排泄
結腸で、水分、電解質、栄養分が吸収された便は、直腸に運ばれて行き一時的に直腸で溜めておきます。直腸が便でいっぱいになると、脳から「便を出せよー」と指令が来て便意を感じて便を排泄します。
働き④:免疫機能
腸は人の生命維持にかかわる最も大切な器官と言われており、腸の粘膜の表面積は実に全身の皮膚のおよそ200倍ともいわれています。 腸は食物に含まれる栄養分を吸収する一方、細菌やウイルスは吸収せずに便として体外に排出しなければなりません。
そのため、血液中を流れるリンパ球といわれる免疫細胞の70%が腸で作られています。
その免疫細胞が腸の粘膜やヒダに集まってバイエル版というリンパ組織を形成して免疫機能高めてウイルスから私たちの体を守ってくれているんです。
人の身体は、毎日3000〜5000個のがん細胞が出現していますが、この免疫細胞が闘って倒してくれているのでがんにならずに毎日を過ごせているんです。
【腸の免疫の働き】
そして、この免疫機能にも腸内細菌が大きく関わっており、腸内細菌の量と種類が多いことで免疫細胞はどんどん強くなっていくので、腸内環境を良くすることはガンなどの病気になりにくい身体を作ることにつながります。
便秘には大きく分けて器質性便秘と機能性便秘の2種類に分けることができます。
みなさんが感じている便秘のほとんどは後者の機能性便秘です。
そしてこの機能性便秘にもいくつか種類があり、。弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘の3つに分けられます。
今からこの3つについて一つずつ説明していきます。
弛緩性便秘は、腸の蠕動運動という運動が低下したり、起きていないことで起こる便秘です。蠕動運動が低下しているので、大腸で便を運ぶことができずに便が途中で溜まってしまいます。そうなると、大腸の腸壁から水分が吸収されて硬い便になっていきます。蠕動運動が低下していることに加えて、便が硬くなっていくので運びにくくなり、より腸内に便が溜まりやすくなります。
日本人で一番多い便秘のタイプがこの弛緩性便秘です。
痙攣性便秘は、副交感神経が優位になってしまい腸の働きが活発になりすぎてしまうことで起きる便秘です。腸が活発に働きすぎて、大腸の一部が痙攣して引きつったような状態になり、その部分がキュッと締め付けられてしまい便が通れなくなって便秘になるというものです。
直腸性便秘は、大便を我慢しすぎると起こる便秘です。
普通は肛門の手前の直腸に便がたまると、脳から「便が溜まったから出せよー」と指令が出て、便意を感じて排便するという流れになるんですが、便意を我慢してトイレに行かないことを何回も繰り返していると脳から「便を出せ!」という指令がだんだん弱くなってきます。つまり、便意を感じなくなってしまい、便はどんどん直腸に溜まって便秘になるというものです。
便秘の原因について話していきたいと思います。
便秘の原因は、腸の働きが悪くなることなんですが、腸の働きが悪くなるのにもいろんな原因がありますが、大きく分けて
があります。
口から食物を摂取して腸に届くまでに胃酸、胆汁、膵液、腸液によって消化されて、食物腸に運ばれていきます。1
まず、食物を消化するために胃で胃酸が分泌されます。胃の主細胞ではタンパク質を分解する消化酵素であるペプシンの元になるペプシノーゲンが分泌されます。ペプシノーゲンが胃酸と混ざることで活性型のペプシンに変わることで、ペフシンが食物のタンパク質を分解して消化してくれます。
次に、胃で消化されたものは粥状になって十二指腸を通っていきます。
胃からの食物が十二指腸に送られると十二指腸の粘膜からセクレチンやコレシストキニンというホルモンが放出され、膵臓に作用して膵液の分泌を促進します。
膵液にはトリプシン、キモトリプシン、アミラーゼ、リパーゼなどの消化酵素が含まれています。
をそれぞれ分解し、食物を小腸で吸収しやすい形に変えます。
この時、同時に肝臓で作られて胆嚢に貯蔵されていた胆汁が分泌されます。胆汁自体には消化酵素はないのですが、膵液と混ざることで膵液に含まれる消化酵素を活性化させてより消化しやすいようにしていきます。また、胆汁、膵液ともにアルカリ性なので、胃酸で酸性に傾いたのを中和してくれます。
ここまで胃酸、膵液、胆汁の分泌によって消化されたものは、小腸の空腸に送られます。
空腸で腸液(消化酵素)を出してさらに細かく分解して消化しやすい状態にしていきます。
具体的に言うと、炭水化物を細かくして麦芽糖・ブドウ糖・果糖・ガラクトースにしたり、脂肪を細かくして脂肪酸とグリセリンにします。
そうすることで回腸(小腸の後半の部分)で分解した栄養を消化した食物から吸収することができます。
胃酸、膵液、胆汁、腸液のどれかが不足するとどこかに負担が大きくかかってしまいます。
【胃酸の分泌が少ない場合】
この時点で胃への負担が増えて胃は疲労してさらに胃酸の分泌は少なくなっていく。
↓
そうなると胆汁を作っている肝臓、貯蔵している胆嚢、膵液を分泌している膵臓は疲労してきます。
↓
同様にして空腸にも負担がかかっていき、結果消化不良のまま大腸へ送られていきます。消化不良のまま食物が送られていくので、小腸、大腸の腸内環境は悪くなっていき、腸の蠕動運動も低下していき便秘になっていきます。
このように消化液を分泌する
胃、肝臓、胆嚢、膵臓、小腸の機能低下があると腸の働きを悪くするので便秘になります。
内臓の特性として、疲労したら重くなるという特性があります。
つまり、疲労すると重くなって下がってくるということです。
図のように小腸、大腸の上には肝臓や胃、膵臓、脾臓があります。
これらの臓器が疲労すると、重くなってしまい腸を圧迫してしまいます。
そうなると、腸は圧迫されてしまうので当然、腸へ負担がかかり機能低下を起こしてしまます。